短歌 11-20

11

満開の

何をはなそう

寝る四葉

青の草原

接近する空

『もどかしい』

 

 

12

冬桜

北の花園

百合のキス

時間に堕ちる

霞むアルバム

『学生時代』

 

13

揺れる襞

冬の出会い

プラットホーム

落としたスマホ

交わす挨拶

『一目惚れ』

 

14

目が痛い

心を吐いた

減るワイン

春に連れてって

夜の怪物

『誘惑』

 

15

麦わらの

マリーゴールド

追いかけて

暑いバス停

台風一過

マリーゴールド

 

16

灰の顔

姉の劇場

蛾の芝居

突き揺れる幕

堕ちる照明

『劇的』

 

 

17

南風

カモメが泣けば

樽割って

頭浴びれば

心の霜を

『弱い心情』

 

 

18

グラス割り

黒幕切って

まる裸

これは芝居か

北京劇場

『北京劇場』

 

 

19

隠さないで

トマトを焼いた

披露宴

崩れたケーキ

忠犬嗤う

『披露宴の失敗』

 

 

20

貴方には

カツラが似合う

髭剃りで

嘘の黒髪

朝の告発

『告発』