短歌221-230

221

目の前を

避けて行路を

君塞ぎ

黙り静まり

互い見合いて

『好き者同士』

 

222

形見て
精神薫る
丘滲み
一番星に
ゆるむ山頂

『確認』

 

223

護られぬ
誓いの呪文
重ねては
見境もなく
床に溶けたい

『割れる花』

 

224

掛ける虹

前後不覚に

陥った

深い溝に

炒めた涙

『恋の失格』

 

225

微笑みに

何を見たのか

紅の

丘の陽陰る

振り向き沈み

『期待して』

 

226

人形の

黒髪さすり

子供部屋

気安く話す

返事期待し

アダルトチルドレン

 

227

町なのに
氷の山に
塞がれる
叩き喚いて
見通し薄く

『分厚い敷居』

 

228

散り散りに

唄も響かぬ

胸の底

固い踊りに

灯火探し

『Necessary love』

 

229

星々が

光輝く

この部屋で

どうして涙

愛は直ぐ側

『蔑まないで』

 

230

水際で

美し過ぎた

破天荒

知らない町で

面影去りて

『グッバイ、さよなら』