短歌71-80

71.

君なんだ

指先キツく

ドキドキと

夜の街角

揺かご抱いて

『保守』

 

72.

清い花

束ねばならぬ

美人なら

湖を咲く

永遠の雪

『愛』

 

 

73.

あの笑顔

暗闇さえも

拒絶して

時を止めよう

これは永遠

『いま、伝えたい純粋』

 

74.

飛行機雲

食べない僕ら

空見上げ

折り紙飛ばし

窓にもたれた

『祈り』

 

75.

あの頃の

父の言葉は

泥酔し

母は笑った

息子は気づく

『家族について』

 

76.

灯篭を

流しあなたを

愛してる

ライター点けて

川岸寒く

『戸惑いながら』

 

77.

水に冷え

あなたを知らぬ

名付け親

歌声届く

やさしい広場

『名前』

 

78.

水をやる

冬が咲きます

まばたきを

どう許される

梅雨を呼ぶ唄

『唄声』

 

79.

いつまでも

夢の続きを

追い続け

果ては楽園

天使はいない

『遊歩』

 

80.

見覚えの

おぼろげな城

崩れゆき

麗しの君

忘れえぬか

『実像』