短歌91-100

91.

忘れないよ

君の右目が

消えたこと

ポツンと雫

あなたの勇気

『君の右目』

 

 

92.

ドクンとね

聴こえてくるの

私だけ?

きっとそうなの

必然だから

『赤い糸』

 

93.

やさしさの

あつい光の

電光の

君の鼓動が

歴史を刻む

『勇者』

 

94.

浮かぶ苔

ふわりやさしく

包むこむ

知らない世界

深いまどろみ

『幻想世界』

 

95.

いつまでも

諦めないと

人は言う

不思議なことに

惑いは続く

『不純』

 

96.

草原の

地平駆ければ

獅子がいた

町に籠もれば

出会えなかった

『戦闘』

 

97.

頂きを

分からぬからって

目を閉じた

君は見ていた

僕は俯く

『自閉』

 

98.

見違えた

君の黒髪

散らかされ

夏の日差しは

届かぬ布団

『夏睡眠』

 

99.

受け継がれ

血の家紋すら

陽に染まり

白日の大地

眼球開く

『鼓動』

 

100.

始まりを

覚えています

何故かしら

白毛が抜ける

思い出までも

『老化』