短歌121-130

121.

目が泳ぐ

背中の見方

知らないで

君の笑顔に

歪む僕では

『大人はいつだって』

 

122.

現実感

水槽越しに

受信する

君のオムレツ

ちょっと苦いね

『水星』

 

123.

真夜中の

流星群に

恋浮かび

昨日の星も

見えないみたい

『恋の実像』

 

124.

降り積もる

雪の甘さに

酔いました

黒い山すら

白く塗りたい

『人はよく忘れる』

 

125.

影たちが

無数の影が

モゾモゾと

夕日に向かう

君を忘れて

『引力』

 

126.

胸の中

私の地球

回ってる

君の中にも

回ってるかな

『胸の地球』

 

127.

朝焼けの

浅さに溺れて

星を見る

雲が覆うと

理由にかまけ

『浅い朝』

 

128.

我々は

君がくさいと

言い続け

我の臭さに

気づかないのだ

村八分

 

129.

夢流れ

星が溜まる丘

君を誘う

傘は要らない

雨はやさしい

『五月雨』

 

130.

漂いて

未熟な甘さ

充満し

過ぎ去る狐

風に洗われ

『恋』