短歌151-160

151.

肩が折れ

鬼現れる

筆探し

君は赤だと

絵の具で染める

『絵画』

 

152.

始まりを

忘れた小人

大人びて

頬の赤みが

愛おしいほど

『手が届かなくて、笑ってて』

 

153.

志願者を

集う劇団

閑散と

三十年後

君は生きてる?

『未来など、今を笑いて』

 

154.

命の血

身体に焦げて

染みになる

洗顔すらも

首を傾げて

『不調』

 

155.

嫌ですと

拒否感示し

破壊して

体重計は

ウチにはないよ?

『太りますが、なにか?』

 

156.

見逃せば

消えてしまうと

恐れてた

大丈夫だよ

僕は居るから

『たとえば君が傷ついて』

 

157.

愛なんて

直ぐ変わるのよ

男って

なのにどうして

手は離れない

『生涯を共にして』

 

158.

直ぐ消える

誰一人さえ

現れない

印象撃たれ

君は出会った

『運命の人』

 

159.

開かれた

君の童話は

君だけに

留まり軽く

夢に斬られる

『君だけのはなし』

 

160.

キスという

距離の概算

星数え

せめて夜明けは

二人でいこう

『距離の概算』