短歌141-150

141.

夜空抜け

濁りを見据え

写真撮り

カメラを抱え

岸へ出る

『不穏な夜明け』

 

 

142.

柵を降り

願いは違い

バラバラに

空の青さを

知るには遅い

『赤い血を』

 

143.

酔いどれの

痛さを忘れ

床に寝る

陰る寝室

明日はお仕事

『二日酔い』

 

144.

我の夢

ランタンみたい

ゆらゆらと

奇跡を祈り

灯り始めた

『夢灯り』

 

145.

善き父の

クリスマスイブ

不倫して

母はチキンを

捨てましたとさ

『クリスマス』

 

146.

風吹いた

究めつくには

タコライス

洗濯干すには

雨予報では

『悩みどころ』

 

147.

教室の

君の自画像

映り込み

削除ボタンを

躊躇すらなく

『嫌いな君』

 

148.

夢がない

ソーメン茹でて

窓開けて

夏の車窓

通る街並み

『自宅横は車道』

 

149.

汚くて

白で拭いても

汚くて

これほどだとは

夢にも知らず

『黒』

 

150.

祭り過ぎ

日常揚げて

非日常

賭けはランダム

人生ゲーム

『人生ゲーム』