短歌171-180

171

分別の

甘い香りに

誘われて

果実のエデン

美人のドグマ

『分別』

 

172.

お兄ちゃん

好きよ好き好き

だーい好き

そんな私を

忘れて消えた

『お兄ちゃん』

 

173.

表情の

移り変わりの

あどけなさ

目を離さない

僕が死ぬまで

『恋』

 

174.

君逝くと

別れのリズム

刻まれて

掴んでも良い?

生きられないから

『道連れ』

 

175.

海が降る

地上は波と

混ざり込み

魚か人か

わかんないよね

『人魚』

 

176.

許される

誰のイタズラ

かつらない

ハゲのお披露目

心臓痛い

『かつら泥棒』

 

177.

髭ですか

いや鼻毛です

すね毛かな

いや鼻毛です

脇毛はどうか

『毛の判別』

 

178.

奏でては

琥珀の音符

愛で撫でる

枯れた愛すら

幼く笑い

『想ひで』

 

179.

シャツたたみ

ベットに入り

夢納め

明日の天気は

晴れでなく雨

『収納』

 

180.

忘れては

百年すらも

生きられず

いついつまでも

この胸痛くて

『死ぬこと』