短歌231-240

231

星重ね

涎湧き垂れ

ほっぺふき

破綻の胸を

背中は知らず

『崩壊』

 

232

美しき

花のくしゃみに

恋をする

花は散るのだ

人は泣くのだ

『恋は散るもの』

 

233

延々と

現のダンス

哲人の

幻交じり

見境つかず

『幻想的』

 

234

喜びが
胸中通じ
微笑んで
握手重ね

染みる頬骨

『喜びの証』

 

235

ふと傾ぐ

君であること

恐れずに

歩む軌跡は

虹になるから

『偉大なる平凡な君へ』

 

236

春が来る

桜の花片

窓閉める

花見は中止

散りゆく桜

『美しく素晴らしい日々』

 

237

お互いに

知らないことを

伝え合い

可能な愛を

差し出し笑う

『助け合い』

 

238

キリギリス

冬はアリの巣

閉じた愛

揺れる羽には

夏の響きが

『凍死』

 

239

期待して

蝉の鳴き声

影で聴く

溶けてくアイス

君に見惚れて

『夏に忘れて』

 

240

月の影

許されるなら

まばたきを

忘れるほどの

君の面影

『固定したい視野』