『錯乱』

たいそうな志など持っていない
曙を浴びるために深夜の光に手を伸ばしたのだよ
社会に紛れるように無心で散歩できたならばと願うよ
いつまでも引き留めようとする僕自身に錯乱する
未来からのやさしい手紙は燃やしちまった
足を止めれば出会える夕日を見ることなく夜を迎える
いつだって走る続けるしかないじゃないか
前へ進むことが怖いんだから
僕を狂わせられる薬を君は持っているかい
最初から狂っているはなしだよ
身を抱えるか見失うか選ぶしかなかった
いっそう誰も気づかない星まばゆい道に招待されていたなら
心も楽だったのに

 

隣の国の夕日にもだえ苦しむんだ
温もりを知ったばかりに焚火に焦がれてしまう
昼寝にすら罪悪感を覚えたから何もできないんだ
楽器を僕の国の神様は必要ないって想像も無理だ
不良と呼ばれてまでも輝きにあやかろうとした
閉ざされた背中の羽を色づかせる出来事を待っている
何度飛んでも工事の止まない道路に倒れている
赤い血が黒ずんでとれない
僕を狂わせられる薬を君は持っているかい
最初から狂っているはなしだよ
血を流すか腐らせるか選べないはずないよな
いっそう誰も呼び寄せない家屋で自殺を学べば
心も楽だったのに

 

開けた地平線は幻
介入すら心地よく覚えるんだろう
まだ知らない恋人の温もり想像するほど馬鹿はいない
昼のこない海岸で過去を慰めるんだ
叫ぶしかないだろ。寂しいんだろ。
誰とも繋がれない。愛されない。
なにもかも幻想だって、いつか知っても明日を信じているか
今は黙って迎える明日まで僕と二人で狂い続けよう
僕を狂わせられる薬を君は持っているかい
最初から狂っているはなしだよ
子を迎えるか放り出すか忘れられないよな
ここで狂うこともできないならば
お先真っ暗だぜ、お前
楽なんて願い下げさ
狂って狂って狂ってやろうぜ
留まりを感じる未来のために踊り続けようぜ
力の限り
心の限りに
明日限界を忘れてしまって、狂っていたなあいつっていうやつがいるんだ
それが明後日の俺

だから銃弾を未来へと撃った
ただただ狂い続けてやる
力の限り
心の限り
いつか胸弾けて命忘れる朝焼けで僕と出会おう
それまではただただ狂い続けて
力の限り
心の限り

安心なんて気楽な慰めさ

オーライ